広義のスクールコンプライアンス
近時、学校・教育現場でのコンプライアンスが問題となってきており、このコンプライアンス問題を「スクールコンプライアンス」と呼んでいます。
このスクールコンプライアンスの意味については、あまり整理されずに一般的に使われているように思われますので、企業、特に上場企業のコンプライアンスとの比較において、具体的にどのような点が異なるかを考えてみます。
まず、企業におけるコンプライアンスの課題は、様々な利害関係者(ステークホルダー)との関係で問題になり、主体の視点から分類すると、大きく分けると、①企業と従業員間、また、従業員間、という企業の内部関係で問題とされるものと、②企業と利害関係者(ステークホルダー)との関係で問題とされる外部関係で問題とされるものです。
狭義のスクールコンプライアンス
これに対して、スクールコンプライアンス(広義)の課題は、①児童・生徒・学生を対象とする問題に関わるコンプライアンス(狭義)、そして、②教員・職員などの学校関係者間におけるコンプライアンス(これは企業における従業員間のコンプライアンスに対応します)、また、③教育機関と教員・職員などの学校関係者の間に関するコンプライアンス(企業の従業員間のコンプライアンスに対応します)、そして、④教育機関と様々な利害関係者(ステークホルダー)との間のコンプライアンス、に分けることができると考えらえます。
スクールコンプライアンスに関して、企業とは異なり、教育機関においては、その内部の構成員に教員・職員と児童・生徒・学生という二つの大きな区分ができることから、企業とは異なり、児童・生徒・学生を対象とする問題に関わるコンプライアンスが中心課題となります。
そこで、狭い意味でのスクールコンプライアンスとは、児童・生徒・学生を対象とする問題に関わるコンプライアンス、言い換えれば、教育指導等における違法な対応や不適切な対応に関わるコンプライアンス、ということになると思います。これに対して、上で説明をしたような様々な関係者に関わるスクールコンプライアンスは、広い意味でのスクールコンプライアンスということができます。