スクールコンプライアンス

狭義のスクールコンプライアンスにおけるモンスターペアレンツ問題

スクールコンプライアンス(広義)の課題のうち、児童・生徒・学生を対象とする問題に関わるコンプライアンスが、狭義のスクールコンプライアンスと言われています。この狭義のスクールコンプライアンスにおける課題の一つがモンスターペアレンツ(モンスターペアレント)問題です。

モンスターペアレンツ(モンスターペアレント)とは、一般的に言えば、学校などの教育機関に対して理不尽な要求をしてくる保護者のことを総称する和製英語です。「モンペ」や「モンペア」と略されることも多いようです。

このようなモンスターペアレンツ問題が増加している理由としていくつかの理由が挙げられていますが、学校教育についてサービスの一種としてとらえる考え方が広まったことが大きな理由と考えられます。公立学校・私立学校を問わず、保護者は、税金・授業料という対価を支払っているのであるから、学校や教師は、子供に対して、それ相応のサービスを提供する義務があると考えられるようになってきていると考えられます。

このような考え方をとる保護者は、企業から物やサービスを購入したり、提供を受けたりするのと同様に、学校をサービス提供業者、そして、教師をその従業員として捉えているように思われます。

現在、モンスターペアレンツ問題が増加している状況下、モンスターペアレント対応をしている現場において、モンスターペアレントが分類されています。現場での経験に基づき、理不尽な要求をしてくる保護者の態度・言動に基づいて、分類がなされています。

様々な分類がなされている中で、多くの分類に共通するのは、「わが子中心型」、「ネグレクト型」、「ノーモラル型(モラルゼロ型・モラル欠如型)」、「学校依存型」、「権利主張型」の5類型です。他に「暴言・暴力型」や「病気・障害型」の類型が追加されることもあります。

まず、これらについて、要求・クレームの内容として分類できるのは、「わが子中心型」、「学校依存型」、「ネグレクト型」、そして「権利主張型」です。「わが子中心型」は、アルバムにうちの子の写真が少ない、うちの子に学芸会の主役をやらせろ、など、判断が自分の子供中心となっている要求・クレームの場合です。「学校依存型」は、朝、子供が起きないので起こしにきてほしい、学校で服が汚れたので、学校で洗濯をしてくれ、など本来、家庭でやるべきことを学校に依存する場合です。「ネグレクト型」は、給食代がかかることはおかしい、学校から呼び出されても行く義務はない、など、子供のことについて放任状態となっている場合です。そして、「権利主張型」とは、子供が学校を休んだ日の給食費返還要求、学校の規則違反で一時預けさせられてしまった携帯電話・スマホの料金について日数分の支払要求などで、本来、権利としては認められない事項について、権利をはき違えて主張する場合です。

なお、「病気・障害型」については、保護者による要求・クレームをする言動が、罹患している精神的な疾患に起因している場合ということであり、これは、原因についての分類であるので、特に、分類として整理をする必要はないと考えられます。

以上のように、モンスターペアレントについて分類をすることができますが、これは、現場の経験から導き出された分類であり、要求・クレームの内容として分類できる「わが子中心型」、「学校依存型」、「ネグレクト型」、そして「権利主張型」において、複数の内容の要求・クレームがあれば、類型が重なる場合があり、また、要求・クレームの仕方に関わるものとして、「ノーモラル型」と「暴言・暴力型」があるのですが、これも、重なる場合があります。

なお、学術的にモンスターペアレントや学校に対する要求・クレームを分類するための研究もなされていますので、それらについては、インターネット上で論文もみることできます。学術的な分類については、学術論文を検索していただきたいと思います。例えば、山本達人「保護者によって学校に寄せられる『意見・要望』の事例の様相-KJ法を用いた類型化の試み-」東京大学大学院教育学研究科紀要56巻(2016年)(https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=28&block_id=31&item_id=51244&item_no=1)を参照。

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